
ピル
ピル
日本では、ピルには主に、避妊を目的として処方される薬(OC、自費診療の対象)と月経痛や子宮内膜症などの症状の治療を目的とする低用量ピル(LEP、保険診療の対象)があります。OCは女性主体でできる避妊方法の一つです。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが含有された錠剤で、副作用や安全性を考慮し処方されます。現在はOCも主流は低用量ピルです。
また、スポーツ選手が月経時期を遅らせるために使用することや、ニキビなどの肌荒れの改善、月経困難症(月経痛)や月経前症候群(PMS)の緩和や子宮内膜症の治療などに使われることもあります。
また、避妊に失敗したと思った際の緊急避妊ピル(エマージェンシーピル)もあります。これは性交後遅くとも72時間以内(早ければ早いほど有効)の内服が大切です。
さらに5年間有効とされる、子宮内に留置する避妊リングもあります。
ピルとは、一般的には避妊薬として知られる女性ホルモン剤で、経口避妊薬ともいいます。月経や妊娠を司る女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)に似た成分が含まれ、卵胞の発育と排卵が抑えられて避妊効果を発揮します。更に受精卵の着床を難しくさせ、子宮頸管粘液に働きかけて精子の侵入を妨げます。避妊の効果が99%以上あり、コンドームや緊急避妊薬よりも高い避妊効果が期待できます。
また避妊薬としてだけではなく、女性の様々な悩みに効果を発揮してくれます。ピルによって排卵をストップさせることで、卵巣や子宮を休ませることができ老化を防ぎます。排卵は卵巣の皮膜を破り細胞を傷つけるため、がんのリスクも高まります。このように排卵は女性の身体に負担をかけるため、一時的に抑えることで、生理痛・月経困難症(PMS)の緩和、子宮内膜症、ニキビなどの肌荒れの改善、がんのリスクを減らすなどの効果が期待できます。
スポーツ選手が月経時期を遅らせるために使用するなど、タイミングをコントロールすることも可能です。ピルを使うことでより快適な人生がおくれるといえるでしょう。人生の心強いサポートとして服用を考えてみるのもいいかもしれません。
低用量ピルの服用により、将来の妊娠に悪影響を及ぼすこともありえません。ただし、場合によってはピルをやめてから妊娠可能になるまで2、3ヶ月かかることがありますので注意が必要です。またよく耳にする体重増加の懸念も不要です。もしかするとムクみにより、太ったと感じることがあるかもしれません。
副作用でいちばん懸念されるのは血栓症のリスクです。ピルは血栓症の確率を2〜3倍に引き揚げ、脳梗塞・心筋梗塞・肺梗塞のリスクを高めます。その為、喫煙の習慣のある方には処方できません。またピル服用の前には、検査(採血)によって、血栓症になりやすい体質がどうか必ず確認しましょう。
また滅多にない副作用ですが、女性ホルモンにより、子宮がん・乳がんへの影響がありますので、がんの定期検診を受けましょう。
副次的な問題では、ピルによってコンドームを使用しなくなることで、性感染症に罹る確率が高くなることです。クラミジアや淋菌、HIV、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスの感染などが上昇します。その点からも性交の際にはコンドームの併用が勧められます。
また避妊効果を維持するためには、飲み忘れをしないことが重要になってきます。ピルは21錠タイプと28錠タイプのシートがあります。飲み忘れ防止にオススメなのが、28錠タイプのシートです。28錠タイプは1シートに28錠あり、そのうちの21や24錠が実薬で、残りの7錠や4錠はプラセボ(偽薬)になっています。21錠タイプは、プラセボ(偽薬)がついていないので、ピルの再開を忘れないように気をつけましょう。1日1錠、決められた順番、決まった時間に飲むことで習慣化し飲み忘れを防止しましょう。
日本のピル服用は世界に比べるとかなり低いのが現状ですが、世界で1億人の女性が服用している避妊薬です。ピルの服用には医師の処方が必要となります。副作用ばかりに目を向けるのではなく、メリットにも注目し、医師と相談しながら服用を検討してみてもよいのではないでしょうか。
主に中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルがあります。それぞれの違いはエストロゲンの配合量で、配合量が多いほど効果が高いのですが、その反面副作用も強く出るので服用の際は注意が必要です。
中用量ピル | 主にアフターピルとして使用します。アフターピルとは、避妊に失敗した時の緊急避妊法になります。性交後72時間以内に内服することで効果を発揮します。 |
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低用量ピル | 副作用や安全性を考え、現在低用量ピルが主流となっています。 |
超低用量ピル | 低用量ピルのホルモン量を、さらに少なくしたピルになります。低用量ピルよりも、副作用が出にくく、生理痛改善の治療に使われることが多いです。 |
子宮内留置リング | 子宮の中に挿入・留置します。約5年間有効とされます。 |